避妊・去勢について

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不妊はもちろん目的の一つですが、私たちが避妊・去勢手術をご提案する理由は病気の予防の側面からです。新しい家族を迎えたら、ぜひご検討ください。

手術前のお願い

  • 避妊・去勢手術は予約制です。事前にお問い合わせください。
  • 半日または1泊のお預かりとなります。
  • 混合ワクチンが接種済み健康な子であることが前提となります。ワクチン証明書をお持ちでしたらご持参ください。
  • 術前12時間は絶食・絶水が原則です。

絶食・絶水が不安な飼い主様へ

全身麻酔後は胃腸の働きが弱ってしまい、胃の中に未消化物が残っていた場合、吐いて誤嚥のリスクを伴います。
そのため、以前は術前12時間前は絶食・絶水が原則でしたが、手術当日の術前・術後に与えられる消化率の高い流動食もあります(術前・術後から4時間程度はあける必要はあります)。
手術前にお渡しすることもできますので、ご希望の場合はお問い合わせください。

犬の避妊手術(メス)

卵巣と子宮を一括切除する手術です。基本的に1泊入院となります。体重により料金が異なります

予防できる病気

1.子宮蓄膿症

子宮に膿(ウミ)が貯留してしまう病気で、生理の後になる場合が多く、私たちが遭遇する機会も少なくありません。中〜高齢の子に多いですが、若齢で罹患する場合もあります。
多飲多尿、元気・食欲減退、陰部からの排膿などの症状が認められ、お腹の中で子宮が破裂して腹膜炎を起こす場合や、重度の感染による敗血症を招く場合があります。敗血症は全身に波及し、全身性炎症反応症候群(SIRS)、呼吸促迫症候群(ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)と、死に至る恐れがあります。
子宮蓄膿症の治療の第1選択は「卵巣子宮摘出術」で、避妊手術と類似していますが、全身状態が悪く麻酔のリスクが比較的高い状態での手術となります。また、状態が悪ければ入院期間も長くなるため、費用も高くなります。

2.乳腺腫瘍

避妊手術を受けていない犬の乳腺腫瘍羅患率は、避妊手術をうけた犬の約7倍とされており、より早期の避妊手術により発生リスクが抑えられることがわかっています。
乳腺腫瘍のうち50%は悪性であり、さらにそのうち約4%は「炎症性乳がん」と呼ばれる極めて悪性度が高く、短期間で死亡してしまう病態へ進行します。
避妊手術実施例における乳腺腫瘍の発生率は下記のように報告されています。

  • 初回発情前での避妊手術実施例:0.05%
  • 2回目発情前での避妊手術実施例:8%
  • 3回目発情前での避妊手術実施例:26%
  • 2.5歳以上での避妊手術実施は、乳腺腫瘍予防効果はなし

3.卵巣腫瘍、子宮・膣腫瘍

卵巣腫瘍には「腺腫」「腺癌」「未分化胚細胞腫」「顆粒膜細胞腫」などがあり、がん性胸水やがん性腹水、骨髄疾患の原因になる場合があります。
子宮・膣腫瘍は「平滑筋腫」が多く、多くは良性です。

犬の去勢手術(オス)

精巣を摘出する手術です。
基本的には日帰りの手術となりますが、精巣があるべき陰嚢に無い場合(停留精巣)、1泊入院となる場合もございます。料金は体重により異なります。

予防できる病気

1.精巣腫瘍

犬の精巣腫瘍は「セルトリ細胞腫」「精上皮腫」「間質細胞腫」の3つが主に見られます。
このうち「セルトリ細胞腫」はまれに転移や、雌性化、対称性脱毛、エストロジェン中毒による重度の骨髄疾患を引き起こすことがあります。
特に停留精巣の場合、精巣腫瘍の発生率が9倍高くなると報告されています。

2.肛門周囲腺腫/腺癌

肛門周囲に発生する腫瘍で、多発したり、表面から出血したりすると排便痛などをもたらし、生活の質を低下させることがあります。

3.会陰ヘルニア

肛門周囲の筋群が萎縮してしまうことによりすき間が生じ、そこに直腸や前立腺、膀胱が反転して出てきてしまう病気で、排便困難、排尿困難、肛門周囲の腫脹により元気食欲が低下することで気付くことが多い病気です。

猫の避妊手術(メス)

卵巣と子宮を一括切除する手術です。基本的に1泊入院となります。
犬のような生理出血がほとんど見られない猫の発情は、下記のようなサインがよく見られます。

  • おしりを持ち上げて雄猫の受け入れ姿勢をとる
  • 頭や首のこすりつけ
  • ゴロンゴロンと回転
  • 遠吠えのような甲高い鳴き声(夜中に多い)
  • 尿スプレー

いつもスリスリして甘えんぼさんの猫ちゃんは判断が難しい場合もありますが、未避妊のメス猫でいつも以上に上記の行動が見られたら、発情のサインかもしれません。
猫の発情は1〜2週間程度持続します。交尾排卵動物である猫は交尾した刺激で排卵、発情期が終わりますが、排卵が起こらなければ2〜3週間後にまた発情が起こります。
猫の発情は本来、日照時間が長い時期と暖かい時期、すなわち2〜4月、6〜8月に多く見られますが(年に2〜3回)、室内飼育が当たり前になった昨今では、人工灯の影響で発情期が長くなり、年中(年に3〜4回)発情がみられる傾向にあるようです。
猫の発情期の行動の変化(特に、連日にわたり夜中鳴き続ける)や、望まれない妊娠予防のため避妊手術をご希望になる方が多いですが、病気予防の観点からも避妊手術をおすすめします。

予防できる病気

1.子宮蓄膿症

子宮に膿が貯留してしまう病気です。犬と比較し多くはありませんが、無いわけではありません。中〜高齢の子に多いですが、若齢で罹患する場合もあります。

2.乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍の約85%は悪性であり、高い局所再発率と遠隔転移率が報告されています。
避妊手術をしていない猫の罹患率は、避妊手術を受けた猫の約7倍とされており、より早期の避妊手術により発生リスクが抑えられることがわかっています。すなわち、早期避妊手術実施例における乳腺腫瘍の発生率は下記のように報告されています。

  • 6ヶ月齢以下での避妊手術実施例:9%
  • 7ヶ月〜1歳齢での避妊手術実施例:14%
  • 1〜2歳齢での避妊手術実施例:89%
  • 2歳以上での避妊手術は乳腺腫瘍発生予防効果はなしとされています

3.卵巣腫瘍、子宮・膣腫瘍

卵巣腫瘍では「未分化胚細胞腫」「顆粒膜細胞腫」などが発生します。
子宮・膣腫瘍は腺腫、線維腫など多くは良性です。

猫の去勢手術(オス)

精巣を摘出する手術です。
基本的には日帰りの手術となりますが、精巣があるべき陰嚢に無い場合(停留精巣)、1泊入院となる場合もございます。

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