飼い主様から教えていただいた大切なこと
一方通行にならないように
院長 吉田満洋

フェリーチェペットクリニック
院長 吉田満洋

出身は千葉県ですが、北海道の大学進学、沖縄での獣医師としてのキャリアスタートを経て、たどり着いた福岡県にて2018年にフェリーチェペットクリニックを開院しました。

「一方通行にならないように」

これは、今までお世話になった飼い主様方から教えていただきました。
このようなスタイルのため、診察時間が長くなったり、お待ちいただく時間が長くなったりすることもあるかと思いますが、なるべくお待たせしないよう努力するとともに、割いていただいた貴重なお時間に対し、納得していただける診療をご提供できるよう、精進してまいりたいと思います。

千葉県船橋市生まれ。
江戸川学園取手高校(茨城県)卒業後、酪農学園大学獣医学部獣医学科(北海道)に進学。
牧港ペットクリニック(沖縄県)、小森動物病院(福岡県)、ペットクリニックハレルヤ粕屋病院(福岡県)の勤務を経て、2018年3月 フェリーチェペットクリニックを開院。

 

所属学会
日本獣医がん学会、福岡県獣医師会
 
趣味
シュノーケリング、派手な洋服や靴下を探すこと(花柄が大好きです)

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院長からのメッセージ

口下手な院長が勇気を振り絞ってカメラの前で語りました。
診察室ではなかなかお伝えできないことを話していますので、お時間がある時にご覧いただければ幸いです。

獣医師という仕事について

獣医師になった理由

実家で犬を飼ってたんですけど、彼が病気をしました。
ちょうどその時、僕が中学生だったんですけど、進路を考えていく上でやっぱり彼の存在があって、自然に獣医を目指すようになりました。

むかし「動物のお医者さん」ていう漫画があって、それを読んでいたということもあって、動物に関わる仕事イコール獣医みたいなそんな感じでの流れです。

院長が飼っていた犬 タロー(♂)

理想の獣医師像

今までこんなぼくを育ててくれた師匠たちの背中はやっぱり大きくて、その知識とか、技術を常にアップデートを求めていらっしゃる姿だったり、温かくて大きい、そんな獣医師になりたいっていうのはあるんですけど。
今こうやって毎日いろんな動物と関わってる中で思うことは、飼い主様の心の機微とかも読み取れるドリトル先生になりたいなと思います。

開院当初から「寄り添った治療」をモットーにしてきたんですけど、言語が違うワンコとかニャンコの気持ちをくみ取って、治療行為を臨機応変に組み立てられるようにしていきたいというのが今の理想ではあります。

例えば、採血とかエコーの検査とか、動物を押さえてもらう「保定」って言うんですけど、むかしはガチッと動かないようにしっかり持ってもらうことを要求してたんですけど、今は動物たちが嫌がることをできるだけ避けるように。
例えば「この子はギュッと持たれるのが嫌だな」とか、そういうことをくみ取って、自分の今までの技術を応用して、嫌がることをできるだけ避けたいなというようにはしています。
ワンちゃん・ニャンコが発する「そこ違う」とか「そこ嫌だ」とか「もう帰りたい」とか「それだったらいいよ」とか、表情とかからよりくみ取って、それで選択するようにはしています。

マニュアル化することで、スタッフの迷いを取り除くことはできるかなと思ってたんですけど、やっぱり一番大事なのはワンちゃん・ニャンコの気持ちなので、それを大事にしていかないといけないなと思って、変えるようにしました。

獣医師として大切にしていること

六感を全て駆使して「気づく」ことですね。
治療方針とか、動物の表情とか、あとは様子の変化に迅速に気づくことが病気の発見につながったりというのももちろんあるんですけど。
あとは、診察室でそばにいる飼い主様の心の機微とかもくみ取って、それで寄り添った治療を一緒に考えていくっていうこと。

待合室で待っている飼い主様、ワンコ・ニャンコも「もう待つの限界かな」とか、「苦しそうかな」とか、そういうところも耳を澄ませて聞き取るようにしたりですね。
電話なんかもそうなんですけど、話しているスタッフの様子とか声色で、その向こうにいる飼い主様が「とっても不安なのかな」とか「怒ってるのかな」とか「ありがとうございました」って言ってくれてるのかなとか、そういうのも感づくように心がけています。

飼い主様のため、あとはワンコ・ニャンコのためになることだったら何でもやるっていうのが一番のモットーですね。
開院当初から掲げている「寄り添った治療」をモットーとしています。

忘れられない別れ

忘れられない経験

長く闘病して亡くなった子とか、「あの時こうしてあげれば良かったのかな。助けられたのかな」っていう子も多くいるので、なかなか選べないですけど、しいてあげるとしたら、自分が飼っていたニャンコがなくなってしまった時のことですかね。

お口の中の「扁平上皮ガン」というとても難しい病気にかかって亡くなってしまったんです。
普段はぼくはあまり家に帰らないんですけど、彼の病気が見つかってからは、なるべく毎日帰るようにしたんです。
そうやって毎日一緒に過ごしていると、扁平上皮ガンって顔の外貌が変どんどんどんどん変わってしまう病気で、あとはお口が痛くてごはんが食べられなくてどんどん痩せていく。
そういった毎日を見ていると、やっぱり家族もとっても辛い病気なんですよね。
学会にも行っていたので、この病気の予後とか治療方法はなかなか難しいよという知見はあって、頭では理解しているんだけど、いざ病気と直面してみると、ひとつひとつ治療の決断はとても勇気がいって。

院長の猫 ペンタックス(♂)

とても難しい病気だっていうのを覚悟をするのも、とても辛い時期でした。
ひとつひとつの治療を選択するのも、本当に覚悟がいるというか、腹をくくらないとなかなか決断できなかったんですよね。

やっぱりお口が痛くてごはんが食べられなくなっちゃうので、麻酔をかけてチューブを入れてそこからごはんを入れたり、脱水していくので、毎日わが子に針を刺して点滴をしたりとか。
あとは心臓も悪かったので、胸水が溜まるようになって苦しくなっちゃったので、何度か肋骨の間から針を刺して胸水を抜いたりとか。
これは自分の子でも、患者さんでも、毎回とっても怖いと思いながらやってるんですけど、わが子となると、やっぱりより緊張してました。

心臓が悪かったので、お薬を飲ませて良くなったんですけど、それも慎重に判断せざるを得ない状況でした。

闘病中のペンタックス

その日は彼もやっぱり体調が悪くて、カーテンの隙間に隠れてたんですけど、苦しい様子で僕の方に突然歩いて来て、苦しみながら顔をスリスリしてくれたんですけど、それから苦しくて倒れてしまって、それからはあっという間だったんですけど。
その時に妻を起こして、抱っこして看取ることができたんですけど、そうやって最後、僕の方に歩いてきてくれたっていうのは、きっと僕がしてきた決断を、彼もちゃんと分かってくれたのかな。
家族として、獣医師として選択してきたことは、全部肯定されたのかなっていう気持ちになりました。

「別れ」が教えてくれたこと

飼主様もわが子の病気が分かった時に選択を迫られるんですけど、やっぱりその時の気持ちがよく分かるようになったというか。
「自分が飼い主だったらこうするかな」っていう気持ちの部分を大きく考えるようになりました。
知識だけを、知ってることだけを並べるのではなくて、より飼い主様の、家族側の立場に立って考えられるようになったかなとは思います。

担当した動物に「別れ」が訪れたとき

僕は普通に泣きます。
泣いちゃダメとかね、よく聞いてたんですけど、むかしはですね。
やっぱり泣いちゃいますね。
自分として、獣医として悔いが残ることもあるし、やっぱり長く関わって愛情を感じて泣いちゃうこともありますね。

後悔がないっていうことはないとは思うんですけど、ちゃんと飼い主様がワンコ・ニャンコとの別れを受け入れられる状況にできたのかなとは思います。

開院した理由

全部ぼくが責任を取る

全てのことに対して「ぼくがちゃんと責任を持てるように」っていうのが理念ではありますね。
現状ではちょっと行き届かないところも、やっぱりどうしてもあって、それは今後の課題ではあるんですけど。
やっぱり基本的には全て把握しておきたいし、「何かあったら全部ぼくが責任を取る」っていうのが理念なので、今のところは獣医は雇う気持ちがあまりなくて、全て把握できるような体制にはしておきたいなと思ってます。

同僚の先生とか、指導してくださる先生がいて、そこで働くっていうのはとても大きなメリットもあって、相談したりとか、勉強できるっていうところとか、メリットはすごく大きいんですけど。
例えば、自分が休みの日に「あの子どうしてるのかな?」とか不安があったりとか。
やっぱり、自分ひとりで責任を負えないところも出てきてたので、まあそうですね「全部 俺に任してくれよ」じゃないですけど。

「いらしていただける全ての方に責任を持ちたい」

やっぱりその一言になりますかね。

当院が目指す理想の姿

まずは「地域に根ざしたホームドクター」として、みなさまにそう思っていただきたいっていうのがまず大前提としてあって。
あとは「言い訳の少ない病院にしたい」っていうのはあります。

ぼくもよく体の心配はされるんですけど、小さい体で、病院も小さい規模だし。
だけど、提供できる医療の少ない病院にはしたくないので、そのために知識の習得だったり、技術の習得だったり、常にアップデートはしていかないといけないなと。
体力の続く限り、情熱をエンジンにして、できる限り休診日の対応とか、夜間の対応とかも、可能な限りやっていきたいなとは思っています。

診療時間外の対応

ひとむかし前は、動物病院って「夜間看護がない」のが結構多かったのかなっていう印象があるんですけど、人の看護師をしている友人がいて、彼女が飼っているワンちゃんが病気になって入院が迫られた時に、「夜間看護してないんだよね」って言えなかったんですよね。
それは言い訳だなと思って。
それをなくすことが、それもひとつ開業したいっていう、開業したら全部自分の責任でやれるなっていう、それはきっかけではありました。

(入院している動物がいるときは)簡易ベッドがあるので(病院に)泊まってます。
「責任を取る」って思ってるなら、やらなきゃなとは思ってます。

待ち時間について

これはもうずっと開院当初からの課題で、まだ解決できてなくて、これっていう解決方法は見当たってないんですけど。
診療を削る気はなくて、診察にかけられる時間ですかね、やっぱり大事なところは時間かけたいし、そこは譲れないんですけど。

例えば、検査の移動とか、検査にかかる時間とか、短縮できるところは1秒でも削りたい、そこに情熱を注いでいきたいなとは思ってます。
僕自身もそうだし、それをスタッフにも要求はしてるんですけど。
メリハリというか、それが少しでも飼い主様の待ち時間を短くできればいいなと思います。

みなさまへメッセージ

これまで当院にいらしていただいた患者様みなさまに支えられて、僕たちここまで歩んでこれました。
その感謝の気持ちを還元して、ひとつひとつ丁寧に診療していきたいと思います。

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